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インフルエンザ

予防対策

(5)ワクチン

ワクチンはなぜ必要か

ワクチンとは、病原体の抗原を接種して、感染部位や血中にそれに合う抗体をあらかじめ作らせ、抗体による免疫機構で感染を防いだり、回復を早めたりするものです。ワクチンには、生ワクチンと不活化ワクチンがあります。

生ワクチン

病原性を弱くしたあるいは無くした病原体を使ったワクチン。感染の際の病原体の侵入経路と同じ取り込み方(投与の仕方)なので(例えば、経口感染するものは経口投与)、感染部位で働く抗体ができるため、感染の防止に有用です。

不活化ワクチン

病原体そのものでなく、抗原を注射等により投与するもの。通常、血中に投与されるため、病原体の侵入経路と一致しないことが多く、感染を防ぐ効果は生ワクチンほど期待できません。血中に抗体ができ、感染してしまった場合の準備が整っているような状態なので、症状が軽くなります。

ワクチン・イメージ

日本で接種されているインフルエンザワクチンは不活化ワクチンです。A型とB型の混合ウイルス抗原を注射します。不活化ワクチンの接種で血中にできる抗体(IgG抗体)は、抗原との特異性が高いため、ウイルスの抗原性が少し変化すると、その作用がなくなってしまいます。それで、世界保健機関(WHO)が推奨したウイルス株を基本にして、日本の前シーズンの流行状況や健康な人の持っている免疫状況などから予測してワクチンが作られます。

感染や発病をほとんど確実に阻止するほどの効果は期待できませんが、高熱などの症状を軽くし、重症化を防いで入院や死亡を減らすことができます。

高齢者の予防接種については、ワクチンの接種を受けないでインフルエンザにかかった65歳以上の健常人が、もし接種していたら約45%の発病を阻止し、約80%の死亡を阻止する効果があったと報告されています。

小児については、1歳以上で6歳未満の幼児では発病を阻止する効果は約20〜30%で、1歳未満の乳児では対象症例数が少なく、効果は明らかでなかったという報告があります。

罹患率の高い小児、死亡数の多い高齢者、医療従事者など感染者やハイリスクの人に接触する機会の多い職業の方は、毎年インフルエンザワクチンを接種することが望まれます。

米国では、鼻からスプレーするインフルエンザの生ワクチン(FluMist)が、健康上のリスクの少ない年齢範囲のみを対象としてですが承認されています。感染部位で中和抗体が作られますので、ウイルスの感染そのものを防止するのに役立つと考えられます。また、気道粘膜にできる抗体(IgA抗体)は特異性が低いため、少しくらいウイルスの型が変化しても効果があるかもしれません。

定期摂取の必要性

インフルエンザワクチンの接種には、予防接種法に基づく定期接種と、それ以外の任意接種(自費)があります。

定期接種は、重症になることや死亡の報告が多く、またインフルエンザワクチンにの接種効果が認められている以下の方が対象です。かかりつけの医師とよく相談のうえで、接種を受けるよう勧められています。

申し込み方法 65歳以上の方は各市町村が実施しますので各市町村役場へ、それ以外の方は任意接種ですので直接医療機関へお問い合わせ下さい。

接種時期

インフルエンザワクチンは、効果が現れるまでに通常約2週間ほどかかり、効果は約5カ月間持続するとされています。日本のインフルエンザの流行は通常12月下旬〜3月上旬が中心になりますので、12月上旬までに接種するのが勧められています。

2回接種の場合は、2回目は1回目から1〜4週間あけて接種しますので、1回目をさらに早めに接種する必要があります。

最も効果が高いのは、1回目の接種と2回目の接種の間隔がおよそ4週間の場合とされています。4週間以上あいたとしても1回目からやり直す必要はなく、流行が始まって2回接種を急いで行う必要がある場合には、1週間以上あいていれば2回目の接種が可能です。

副作用

副作用として一番多いのは筋肉注射による筋肉痛で、その他には微熱、関節の痛みなどの軽い風邪の症状が現れることがあります。通常このような症状は2日間程度で治りるそうです。不活化ワクチンは、既に死んでいるウィルスから作られているので、インフルエンザになる心配はありません。

新型インフルエンザとワクチン

新型インフルエンザに有効なワクチンは、新型インフルエンザが発生してからでないと製造できません。また、製造には、ウイルスが発見されてから少なくとも6ヵ月間かかると言われています。その間は、ヒトからヒトへの感染をできるだけ防いで、感染の拡大を遅らせなければなりません。手洗いやうがい、マスクなどの基本的な予防方法も重要になってきます。

トリインフルエンザの流行時にヒトウイルスのワクチンが接種されるのは、トリインフルエンザとヒトインフルエンザを区別するため、そして、ヒトウイルスとトリウイルスに同時に感染して、ヒトの体内で遺伝子交換によって新型インフルエンザウイルスが誕生するのを防ぐ意味もあります。