手洗いは、感染を防ぐ上で非常に重要であることは、世界の常識になっています。かぜの予防といって真っ先にあがるのも、この頃は手洗いです。インフルエンザウイルスはかぜのウイルスより感染力が強いため、咳やくしゃみで出た飛沫を直接吸込んで感染することが多いようですが、飛沫で汚染された手指や物、周囲環境の表面から手を介する接触感染も経路のひとつです。
インフルエンザの流行時期には、電車の吊革や公衆電話の受話器、ドアノブなどから多くのウイルスがよく分離されるそうです。ドアの取っ手、テーブルの表面で2時間あるいはそれ以上の時間、ウイルスは感染性をもっていることが知られています。
手洗いは、ふたつの観点から、インフルエンザの感染防止に重要です。
自分が感染していない場合、手洗いによって手指を介する接触感染を防ぐことができます。
自分が感染(発症)している場合は、汚染された手指を介する周囲環境を汚染を抑えて、接触感染によって周りの人に広がるのを防ぐことができます。
手洗いの有効性
石けんで泡立てながら、15秒から20秒洗いましょう。洗ったあとに手をしっかり乾かすことも大切です。
インフルエンザウイルスは、エンベロープという脂質性の膜をウイルス粒子のいちばん外側にもっており、この膜にウイルスが細胞に感染する上で重要なHAやNAがあります。
エンベロープは、ウイルス増殖して細胞から出るときに、被って出て来るもので、したがって、ヒトに感染するウイルスは、その成分がよく似ています。エンベロープは、脂質性(水に溶けにくく油に溶けやすいような性質)のため、エタノールなどのアルコールによって簡単に壊されます。エンベロープを壊されたウイルスは、感染に重要なたんぱくなどを失うので、感染性がなくなります。
エンベロープを持つウイルスは、消毒剤などに対する抵抗性が一般に弱く、作用の穏やかなものでも効くことが知られています。
石けんなどの界面活性剤は、脂質性の相互作用で付着したウイルスを落としやすくすると考えられます。また、殺菌剤などを含むものは、エンベロープに作用してウイルスの感染性をなくす効果も期待できます。より確実に行いたい場合は、手洗い後に速乾性のアルコール製剤を使用するとよいでしょう。
汚れが目に見えて明らかなときは、石けんと流水(またはお湯)で手を洗いましょう。
石けんと流水が使用できないときや汚れが明らかでない場合は、アルコール系の速乾性手指消毒剤が利用できます。
お湯の使用や、頻繁な手洗い、手指消毒は手荒れに繋がることがあります。手荒れがあると手洗いがおろそかになりやすいので、手洗い、手指消毒が多くなる流行シーズンは、手肌のケアも大切です。
帰宅時
咳やくしゃみの後
The American Society for Microbiologyによる全国的な調査によると、おむつの交換の後や食事の前に手を洗うという人はほとんどだが、咳やくしゃみの後に手を洗う人はほとんどいなかったとのこと。米国の調査ですが、日本でもおそらく同様と思われます。
健康管理としては、トイレの使用後、食事の前。
インフルエンザだけでなく感染防止の観点からは
血液などの体液、汚物などを扱う作業をした後、見た目に汚れているかどうかに関係なく、手を洗いましょう。手袋をしていても、外した後は手を洗います。
傷口に触れる前後も手を洗います。
WHO(世界保健機構)が示すインフルエンザ予防のための手洗いすべきとき
(Prevention and Control of Influenza due to Avian Influenza Virus A (H5N1))(2005.3.30改訂)