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Dr.大越のメッセージ~
海外派遣企業向けに世界地域別の感染症発生内容や危機管理情報を配信します。
1981年東京慈恵会医科大学卒業、同大学第一内科助手。米国留学後、1994年から14年間、日本航空健康管理室に勤務、お客様健康問題対策、航空機内AED導入、客室乗務員教育を担当。2008年8月渡航医学センター西新橋クリニック院長。日本渡航医学会副理事長、日本宇宙航空環境学会理事。現在に至る。
今回は、水や食べ物から感染する感染症である腸チフスをトピックスで取り上げます。インフルエンザは、北半球の流行が始まりました。鳥インフルエンザは、中国、エジプトとインドネシアで新たな発生が報告されました。
大統領の医師団は、インドネシア大統領夫人が腸チフスで陸軍病院に入院中であることを公表されました。夫人は現在も入院治療中ですが、回復してきているようです。今のところ、感染経路は明らかとなっていません。
今の日本人にはなじみの少ない感染症ですが、かつては日本でも腸チフスの流行が見られました。途上国では、現在でも最も警戒しなければいけない感染症の一つであり、世界中で一年間に2,200万人が感染し、20万人が死亡していると推測されています。
解説)腸チフス
腸チフスは、水や食べ物から感染する感染症です。
現在は国内で感染する危険はありませんが、日本人渡航者が途上国、特に南アジアや東南アジアに渡航した際に感染するケースが発生しています。
腸チフスの感染地域割合(2010年)
国立感染症研究所感染症情報センター:腸チフス 2010年(2011年3月25日時点)
腸チフスは潜伏期1~3週間くらいで、高熱、頭痛、全身のだるさ、高熱時に数時間現れる胸や背中、腹の淡いピンク色の発疹、便秘などの症状が現れます。熱が高いわりに脈が遅いのが特徴的です。重大な症状として、腸から出血したり、腸に穴が開いたりすることがあります。治療は抗生物質です。
予防は、水や食べ物に注意することが最も大切です。しかし、大統領夫人でも感染してしまうように、それだけでは完全に予防できません。腸チフス感染の危険な地域に滞在する場合は、予防接種を検討してください。腸チフスには有効なワクチンは、日本では承認されていませんので、トラベルクリニックで外国から輸入したワクチンを接種してもらってください。
厚生労働省検疫所 FORTH 海外で健康に過ごすために:感染症についての情報
2011年第42週以降増加が続いており、第52週の定点当たり報告数は3.75(患者報告数17,802)となりました。愛知県(17.62)、三重県(15.36)、宮城県(14.35)、岐阜県(10.29)、香川県(9.78)、岡山県(8.89)、山口県(7.75)、沖縄県(7.19)の順となっています。インフルエンザウイルスはAH3亜型(A香港型)が多く、B型も報告されています。
国立感染症研究所感染症情報センター:インフルエンザ流行レベルマップ
参考)定点あたりの発生数が1.0以上を越えると、流行開始と判断されます。
北半球の温帯地方では、カナダ、欧州(スペイン・トルコ)・北部アフリカ(チュニジア・アルジェリア)・中東の一部(イラン)でウイルス活動の著しい増加が報告されています。それ以外の温帯地域では、通常の流行レベル以下に留まっています。主に、A(H3N2)亜型ウイルスが検出されています。
WHO:Influenza update-06 January 2012 Update number 150
中国で新たに鳥インフルエンザA (H5N1)症例1例が報告されました。症例は、広東省深圳市に住む39歳の男性。2011年12月21日に発症し、12月25日に入院しました。その後危篤状態となり、12月31日に死亡しました。感染源の調査が現在進められています。症例と密接な接触があった者は監視されており、これまでのところ異常のあった者はいません。中国で現在までに確認された41例のうち、27例が死亡しています。
エジプトで新たな鳥インフルエンザの患者が報告されました。症例はミヌーフィーヤ(Menofia)県に住む42歳の男性。2011年12月16日に発症し、12月21日に入院しタミフルで治療を受けました。症例は重篤な状態で、22日に死亡しました。感染源調査により、症例は裏庭で飼っている病気や死んだ家禽と接触していたことが判明しています。
エジプトでは現在までに157例の症例が確認され、そのうち55例が死亡しています。
インドネシアで新たに鳥インフルエンザA(H5N1)症例1例が報告されました。
症例はジャカルタに住む23歳の男性です。2011年12月31日に発症し、2012年1月6日に入院しましたが1月7日に死亡しました。 患者はハトを飼育しており、その中に病気で後に死んだハトの世話をしていました。
インドネシアでは現在までに183症例が確認され、そのうち151例が死亡しています。