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Dr.濱田コラム

感染症の“今”を語る~Dr.濱田カフェ~

国内~海外の感染症の“今”を濱田先生の目線でお届けする時事コラムです!

氏名:
濱田 篤郎 氏
現職:
東京医科大学病院 渡航者医療センター 教授

1981年東京慈恵会医科大学卒業後、84年米国より留学し、熱帯医学、旅行医学を修得。帰国後、東京慈恵会医科大学熱帯医学教室講師を経て、2004年より、独)海外勤務健康管理センター所長代理として、海外渡航者の診療にあたるとともに、SARSなど海外感染症対策事業を運営。2010年7月より現職。ほかに、日本渡航医学会理事長、日本臨床寄生虫学会理事、著書に『旅と病の三千年史』(文春新書)、「世界一病気に狙われている日本人」「新型インフルエンザ『かかる前に』『かかってから』(講談社α新書)など多数。

第17回:新しい「新型インフルエンザウイルス」が登場した!

新型インフルエンザウイルスと言えば、2009年にメキシコから全世界に蔓延した豚インフルエンザH1N1型を思い浮かべる方が多い。しかし、このウイルスは随分と前から新型ではなくなっている。
WHOは2010年8月に、「H1N1型によるパンデミックは終了した」と発表し、それ以降、H1N1型は季節性インフルエンザをおこすウイルスの一つとして扱われている。日本の厚生労働省も2011年3月に「H1N1型ウイルスによるインフルエンザは季節性と同等に扱う」と発表した。これ以来、厚生労働省の新型インフルエンザ(H1N1型)のホームページは閉鎖されてしまった。

では、現在、新型インフルエンザウイルスは存在しないのか?
実は、今年の11月に米国でこの病原体が静かに復活していた。
11月10日から13日にかけてアイオワ州で3人の子ども(11ヶ月、2歳、3歳)が、相次いでインフルエンザの症状をおこした。米国CDCがその病原体を調べたところ、3人から豚インフルエンザH3N2型ウイルスを検出したのである。この型は毎年冬に流行する香港型と同じだが、それはヒトのウイルスでの話し。今回、米国アイオワ州で検出されたのは豚のウイルスだった。

ここまでなら、それほど驚くものではない。なぜなら、すでに米国では2009年から10例以上の豚H3N2型ウイルスの患者が確認されているからだ。ただし、いままでの患者は豚から直接感染した例だったが、今回の3人の子どもはヒトからヒトに感染していたのである。これは重大事件ということで、WHOは米国CDCとともに大規模な調査に乗り出した。
幸い3人の子どもは重症化することなく回復しており、病原性の高いウイルスではなさそうだ。また、患者の周囲に新たな感染者はなく、2009年のメキシコでの流行のように急速に拡大する気配もない。
しかしWHOと米国CDCは相当に神経を尖らせている。

Influenza like illness in the United States of America Revised 7 December 2011
Limited Human-to-Human Transmission of Novel Influenza A (H3N2) Virus -- Iowa, November 2011

この調査結果の中で、米国CDCは今回の豚H3N2型について新型インフルエンザウイルスという言葉を使っている。今までヒトの間で流行したことのない新種のウイルスであり、さらにヒトからヒトに感染したとなれば、これは新型のウイルスと言ってもいい段階なのだ。このウイルスが2009年のようなパンデミックをおこす可能性は低いが、暫くは推移を見守っていく必要があるだろう。
今年の年末も気がぬけない。

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