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感染症専門家コラム
Dr.濱田コラム

感染症の“今”を語る~Dr.濱田カフェ~

国内~海外の感染症の“今”を濱田先生の目線でお届けする時事コラムです!

氏名:
濱田 篤郎 氏
現職:
東京医科大学病院 渡航者医療センター 教授

1981年東京慈恵会医科大学卒業後、84年米国より留学し、熱帯医学、旅行医学を修得。帰国後、東京慈恵会医科大学熱帯医学教室講師を経て、2004年より、独)海外勤務健康管理センター所長代理として、海外渡航者の診療にあたるとともに、SARSなど海外感染症対策事業を運営。2010年7月より現職。ほかに、日本渡航医学会理事長、日本臨床寄生虫学会理事、著書に『旅と病の三千年史』(文春新書)、「世界一病気に狙われている日本人」「新型インフルエンザ『かかる前に』『かかってから』(講談社α新書)など多数。

第15回:感染症情報源・虎の巻

先日、大学時代の後輩から電話があった。企業の産業医をしており、時々、感染症関係の質問をしてくる。

「国内のニワトリの間で鳥インフルエンザの流行が再発しているとの噂がありますが、本当ですか?」

突然の質問に、私は慌てて目の前にあるパソコンをインターネットに接続した。
グーグルのニュースを開き「インフルエンザ」と入力。ここ数日の関連記事が表示されるが、その中に鳥インフルエンザのニュースはなかった。私は毎朝、「インフルエンザ」など、いくつかのキーワードで記事検索を行っている。しかし、この日は忙しくて、その日課をさぼっていたのだ。後輩の電話はその隙をついての奇襲だった。
「それは誤報だと思うよ。情報は毎日チェックしているけど、そんな報告はないな。」
私は目の前の記事を再確認しながら、そう答えた。

「公式に鳥インフルエンザの流行状況を発表しているサイトはありますか?」
「そうだね・・、例えば厚生労働省の感染症情報かな。」
厚生労働省の「感染症情報」とは感染症関係の情報や対策を集約したサイトである。

厚生労働省 感染症情報

このページにある「鳥インフルエンザ」を開くと、ヒトの患者に関する情報は詳しく書かれているが、実はニワトリなど動物の情報はあまり載っていない。
「え!先輩、それはおかしい。僕が知りたいのは最近のニワトリの状況ですよ。」
なかなか突っ込みの鋭い後輩である。
「そうだったね・・。それなら農林水産省のサイトを見るといいよ。」
日本の行政分担ではニワトリの病気は農林水産省の管轄なのである。このため、ニワトリの鳥インフルエンザに関する情報は同省の「鳥インフルエンザに関する情報」が詳しいのだ。

農林水産省 鳥インフルエンザに関する情報

鳥インフルエンザだけでなく感染症流行情報の多くが、今やインターネットで入手可能になっている。どのサイトをチェックするかは、感染症専門家の腕の見せどころなのだ。例えば、冬場に流行するインフルエンザの状況については、先ほどの厚生労働省の「感染症情報」にある「インフルエンザ」がおすすめである。
では、「今年はマイコプラズマ肺炎が流行している」という情報をどこから入手するのか。これは厚生労働省の「感染症情報」を見ても掲載されていない。こうした個々の感染症の流行状況は、国立感染症研究所・感染症情報センターのサイトにある感染症発生動向調査週報がおすすめ。医療関係者向けではあるが、グラフなどを駆使して一般の方にも理解できる内容になっている。

国立感染症研究所感染症情報センター IDWR(感染症発生動向調査 週報)

海外の感染症情報に関しては検疫所のサイトが最も充実している。最近は各国の衛生当局が発表する情報も掲載しており、最新の感染症情報を見ることができる。

FORTH 厚生労働省検疫所 海外で健康に過ごすために

また、わが東京医科大学病院・渡航者医療センターでも「海外感染症情報」を毎月発表しているので、ぜひ、ご活用いただきたい。

東京医科大学病院 渡航者医療センター 海外感染症流行情報

「先輩!もう一つ聞いていいですか?マイコプラズマ肺炎の流行状況ですが・・」
「あのね、今日は忙しいからここまで。少しは自分で調べてね。それじゃ」
私はやや不機嫌になりながら電話を切った。

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